インドネシア人の特定技能「介護」受け入れガイド|試験・現地手続き・送り出し機関の選び方

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車やバイクが行き交うジャカルタの幹線道路
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特定技能「介護」で働く外国人のうち、最も多いのがインドネシア国籍の人材です。一方で、インドネシアにはIPKOLやSISKOP2MIといった独自の手続きがあり、日本側の申請だけでは入国まで進まないこともあります。この記事では、インドネシア人材を介護分野で紹介・支援する紹介会社・登録支援機関向けに、試験・手続き・送り出し側の選び方をまとめます。

介護分野で最も多いのはインドネシア人材

出入国在留管理庁が公表している特定技能在留外国人数(令和8年6月末・速報値)によると、特定技能1号の介護分野で働く人は79,884人で、そのうちインドネシア国籍は26,433人です。介護分野の国籍別では最も多く、全体の約3分の1を占めています。次いでミャンマー(24,313人)、ベトナム(9,928人)、ネパール(7,410人)と続きます。

インドネシア国籍の特定技能1号は全分野で107,242人で、国籍別ではベトナムに次ぐ2番目です。分野別に見ると介護がもっとも多く、飲食料品製造業(23,782人)、農業(18,255人)がそれに続きます。インドネシア人材にとって、介護は特定技能の中心的な就労先になっているといえます。

背景には、経済連携協定(EPA)による看護師・介護福祉士候補者の受け入れが2008年度にインドネシアから始まり、日本の介護現場とインドネシアの人材とのつながりが長く続いてきたこともあると考えられます。

介護分野は国籍別の人数が多いぶん、求人側の競争も激しくなりがちです。紹介会社・登録支援機関としては「インドネシアなら集まる」と考えず、試験合格者の在庫と入国までのリードタイムを早めに確認しておくことが大切です。

特定技能「介護」に必要な試験と、インドネシアでの実施状況

特定技能1号の介護分野で働くには、原則として次の試験に合格する必要があります。

区分試験ポイント
技能水準介護技能評価試験介護の基本、身体介護、コミュニケーションなど
日本語能力国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験N4以上生活・業務に必要な基礎的な日本語
日本語能力(分野別)介護日本語評価試験介護の現場で使う言葉・会話・文書

介護分野の技能実習2号を良好に修了した人は、介護技能評価試験と日本語の試験が免除されます。ただし、介護以外の職種で技能実習2号を修了した人は、介護日本語評価試験の合格が必要になる点に注意が必要です。

介護技能評価試験と介護日本語評価試験はインドネシア国内でも実施されており、厚生労働省は実施回ごとの結果を公表しています。公表されている回を見ると、介護技能評価試験の合格率は8〜9割程度、介護日本語評価試験は6〜7割台の回があり、日本語の試験のほうが合格のハードルになりやすい傾向がうかがえます。候補者を確認するときは「3つの試験すべてに合格しているか」「技能試験だけの合格か」を分けて把握しましょう。

南国の通りで車椅子の高齢女性に付き添って歩く介護者
南国の通りで車椅子の高齢女性に付き添って歩く介護者Photo: Pexels

インドネシア側の手続き:IPKOL・SISKOP2MI・E-PMI

日本とインドネシアは、特定技能制度に関する協力覚書(MOC)を2019年6月25日にジャカルタで署名・交換しました。悪質な仲介事業者の排除や、保証金・違約金の徴収などの問題に関する情報共有を目的としたものです。覚書は2024年6月25日から2年間延長され、さらに2026年6月23日の口上書交換により、同年6月25日から6か月間延長されています。今後の取り扱いは出入国在留管理庁のインドネシアのページで最新情報を確認してください。

出入国在留管理庁の資料では、インドネシアから新たに人材を受け入れる場合(直接採用)のインドネシア側手続きとして、主に次の流れが示されています。

  1. IPKOLへの登録・求人申込み:インドネシア政府が管理する求人システム(労働市場情報システム)。受け入れ機関の登録・求人をインドネシア側が強く希望しているとされています。入力は英語またはインドネシア語です。
  2. 雇用契約書の提出:締結した雇用契約書をIPKOLを通じてインドネシア側に提出します。
  3. SISKOP2MIへの登録:本人が海外労働者管理サービスシステムに登録し、ID番号が発行されます。
  4. 移住労働者証(E-PMI)の発行:出国前に必要な手続きを経て発行されます。

一方、日本の在留諸申請では、インドネシア側の手続きを行ったことを証明する書類の提出は不要とされています。ただし、日本側の書類がそろっていても、インドネシア側の登録が済んでいなければ本人が出国できない可能性があります。在留資格認定証明書(COE)の申請と並行して、インドネシア側の手続きの進み具合を確認しておくのが安全です。

すでに日本に住んでいるインドネシア人(技能実習修了者や留学生など)を受け入れる場合も、雇用契約書を駐日インドネシア大使館に提出し、SISKOP2MIへの登録や大使館での海外労働者登録手続きが求められるとされています。

P3MIを利用する場合と、紹介会社が押さえるべき法令

インドネシアには、海外への労働者送り出しを担う職業紹介事業者(P3MI)があります。出入国在留管理庁は、P3MIの利用は任意としています。P3MIの一覧はインドネシア側のシステム(SISKOP2MI)で確認できますが、掲載情報が最新でない場合があるとされています。

P3MIを利用する場合は、日本の職業紹介事業者とP3MIが提携契約を結び、駐日インドネシア大使館の支援を受けながら採用手続きを進める流れが示されています。なお、P3MIは技能実習生の送り出しに関わる「認定送出機関」とは別のものとされています。育成就労制度での送り出し機関の扱いについては育成就労制度と送り出し機関のルールで解説しています。

出入国在留管理庁は、受け入れ機関だけでなく、利用する職業紹介事業者や送り出し側の機関も職業安定法に抵触しないことを求めています。国外にわたる職業紹介を行う場合は、自社の許可・届出の内容(取扱国など)が実態と合っているかを必ず確認してください。

受け入れ企業側のルール:人数枠・協議会・訪問系サービス

紹介先の介護事業所に説明しておきたい、介護分野特有のルールもあります。

  • 雇用形態は直接雇用:派遣での受け入れはできません。
  • 受け入れ人数の上限:事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。
  • 協議会への加入:受け入れ機関は、厚生労働省が設置する「介護分野における特定技能協議会」の構成員になる必要があります。
  • 在留期間:特定技能1号は通算5年まで。介護分野は特定技能2号の対象外ですが、介護福祉士の資格を取れば在留資格「介護」に移る道があります。

訪問系サービスへの従事

2025年4月21日の厚生労働省告示により、一定の要件を満たせば、特定技能外国人が利用者の居宅でサービスを提供する訪問系の業務にも従事できるようになりました。要件としては、実務経験等のある人に限ることと利用者への説明、業務や日本の生活様式などに関する講習、一人で対応できるまでの同行訓練、本人の意向を確認したキャリアアップ計画の作成、ハラスメント対策、ICTの活用などによる緊急時の連絡体制の整備が挙げられています。訪問介護事業所への紹介を考える場合は、これらの体制が整っているかを事前に確認しましょう。

インドネシアの送り出し機関・P3MIを選ぶときのチェックポイント

インドネシアの移住労働者保護法では、移住労働者本人に配置費用を負担させてはならないという考え方が示されているとされています。日本の制度でも、本人が負担する費用は内容と金額を十分に理解・合意していることが前提です。送り出し側を選ぶときは、金額の安さよりも費用の内訳を書面で開示してもらえるかを重視しましょう。

  • 介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語基礎試験のすべてに合格した候補者を何人抱えているか
  • 介護の実習設備や、介護の日本語に特化した授業があるか
  • IPKOL・SISKOP2MI・E-PMIなどインドネシア側手続きの段取りを説明できるか
  • 本人負担費用と受け入れ側負担費用の内訳を書面で出せるか
  • 保証金や違約金を本人に課していないか
  • 内定から入国までに過去どのくらいの期間がかかったか

介護分野での受け入れ全体の考え方は、ネパール人の特定技能「介護」受け入れガイドも参考になります。国によって手続きの仕組みが異なるため、ネパールとの違いを知りたい場合はネパールから特定技能人材を受け入れる手続きと比べてみてください。

インドネシアは特定技能「介護」で最も人数の多い国で、現地でも介護の試験が行われています。一方で、IPKOLやSISKOP2MIなどインドネシア側独自の手続きがあり、日本の在留申請だけ進めても出国できないことがあります。協力覚書の延長状況など最新の公的情報を確認しつつ、試験合格者の在庫と費用の内訳を開示できる送り出し側と組むことが、スムーズな受け入れの近道です。

よくある質問

インドネシア人を特定技能「介護」で受け入れるには、どの試験に合格する必要がありますか?
原則として、介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語の基礎試験(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上)の3つです。介護分野の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。
インドネシアから特定技能で受け入れるとき、IPKOLへの登録は必要ですか?
出入国在留管理庁の資料では、直接採用の場合、インドネシア側は受け入れ機関のIPKOLへの登録・求人を強く希望しているとされています。日本の在留申請でインドネシア側手続きの証明書類は不要ですが、本人の出国手続きに影響するため、並行して進めるのが安全です。
インドネシアの送り出し機関(P3MI)は必ず利用しなければなりませんか?
出入国在留管理庁は、インドネシアの職業紹介事業者(P3MI)の利用は任意としています。利用する場合は、日本の職業紹介事業者とP3MIが提携契約を結び、駐日インドネシア大使館の支援を受けて採用手続きを進める流れが示されています。

参考・出典

制度・手続きは改正されることがあります。最新の情報は各公的機関の発表をご確認ください。

OKURI BASE 編集部株式会社ドルジホールディングスが運営する、送り出し機関と紹介会社・登録支援機関をつなぐプラットフォームの編集チーム。特定技能・育成就労の送り出し実務を、公的情報をもとに解説しています。

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